TaiCoのオタこブログ

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【ベルセルク】主人公ガッツと作品の魅力【追悼の意を込めて】

ブログを読んでくださり、ありがとうございます。

今回はダークファンタジーの真髄といっても過言ではない『ベルセルク』の魅力を解説していきたいと思います。

令和3年9月10日発売のヤングアニマルは、令和3年5月に逝去された三浦建太郎先生が直筆でペン入れをされた最後の原稿が掲載されることとあって、ベルセルクファンは今か今かと発売を首を長くして待っていたのではないでしょうか。

 

ヤングアニマルベルセルク」メモリアル号と題された今雑誌には、ベルセルクの代名詞とも言える大剣を「グォン!!」と風を切る音が聞こえてきそうな勢いで振るうガッツがじっとこちらを見つめていて、その横にはあまりにも有名なあの言葉が記されています。

 

ーーそれは 剣というには あまりにも大きすぎたーー

 

 

 

この表紙だけでヤングアニマル編集部の三浦先生、ひいては「ベルセルク」へかける情熱が読者にもひしひしと伝わってきます。

 

 

万人受けはしない

でも刺さる人には骨の髄までぶっ刺さる

 

ベルセルクという漫画は好きな人はとことん好きになり、苦手だと思うととことん苦手になる、正直万人受けする漫画では無いと思います。

ダークファンタジーというジャンルそもそもが読む人を選ぶ物だし、受け付けないという人も多い。加えてベルセルクは容赦という言葉が無いほどグロい。

人間が当たり前のように真っ二つになるし、荒廃した世界が舞台の作品なために人間が人間を傷つけるやり方も容赦がない。だからこればかりは、好き嫌いが分かれてしまうのも仕方ないと思います。

見た目からしてグロテスクなモンスターもかなり登場するし、闇の魔物に至っては見た目だけでなくその所業すらもグロい上にえげつない。

ベルセルクにはかなりエグい見た目のモンスターが結構出て来まして、ギョッとするような気持ち悪さを感じます。私も「ウギョ」と思いながらも鳥肌を堪え、でも時々目を逸らて休憩死ながら読んだものです。

なら読むなという話なんですが、そこがベルセルクの何とも言えない魅力の一つ。

一度読むと読むのをやめられなくて、クセになる。気持ち悪いはずなのに、もっともっと読みたくなる。

中毒性が高い漫画、それがベルセルクなのです。

 

 

画力の暴力

繊細な絵ゆえのエグさ恐怖

 

ベルセルクといえば何と言っても三浦先生の繊細で他の追従を許さない圧倒的な画力と、キャラデザの細やかさ。そしてメインキャラ以外のキャラクターの心情も丁寧に描かれていることでも定評があります。

漫画の中には戦場や街の中などたくさんのキャラクターが行き交う場面で、手前に描かれるメインのキャラクター以外は顔がボケて絵くずれしていたりのっぺらぼうの状態だったり、背景も手抜きで適当に描かれているものもあります。

ですがベルセルクでは、手抜きの絵は一切ない

漫画のコマの中に現実として荒廃した別世界が息づき、まるで本当にその世界に飛び込んだかのようなリアルさ。血と肉と、憎悪、哀しみ、怒り。キャラクターそれぞれが抱える歪みや闇が目の前に迫ってくるような緊迫感は、他の漫画では決して味わえないと断言できます。

読む者を圧倒し心と視線を吸引する力を持つベルセルクでは、多種多様なモンスターや魔物が登場します。

毛がもじゃもじゃのやつから、棘が生えたやつ、先述したとおり身体中にイボイボぶつぶつがついたやつ、身体が腐りかけたゾンビみたいなやつ、カエルと馬のお化けみたいなやつも出てきますが、なにせ、絵が巧すぎるがために非っっっっっっ常にそのエグさが恐怖心を煽ってくる・・・。

 

 

闇を抱え、多くを語らず

飾れない粗暴さの中に見える

不器用な優しさ

 

好きになる漫画には、何かしらのキッカケがあるものです。

 

・ストーリーが面白い。

・絵が好き。

・時代背景や設定が好き。

・キャラクターが好き。

Etc

 

他にも色々なキッカケがあると思いますが、中でもキッカケとして挙げられることが多く、個人的に漫画を好きになる基準となっているものをピックアップさせていただきました。(主観的で申し訳ないです・・・)

どうやって漫画が好きになるのか。実際、深く考えたことがない。

『気が付いたら好きになっていた』が殆どであるIQ3の人間が、なぜベルセルクを好きになったのかを真剣に考えました。

考えた結果、導き出された答えはめちゃくちゃシンプル。

ガッツに惚れたからに他ならないのです。

 

ベルセルクを知らない人がパッと見ると、ガッツというキャラクターは闇(敵)側のキャラクターに見えるはずです。

着ているものは黒くてゴツい甲冑、表情は暗く、雰囲気も物々しい上に傷だらけ。

満面の笑顔を浮かべ、周りを明るくするような所謂“王道主人公“には到底見えません。むしろ真逆な印象を受ける。

ガッツとグリフィスが並んでいたらまず間違いなく主人公はグリフィスで、敵キャラがガッツだと答える人が大多数ではないでしょうか。

 

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色使いも雰囲気も全く対照的な彼らですが、ポジションは受ける印象とは真逆だというのも魅力ポイント。

痛みと苦しみと憎しみ。孤独に戦場で生きてきたガッツは手負いの獣のように常に生きる理由を探して戦場を彷徨っていた。

夢もなく、何度死にかけても、何度打ちのめされても泥水を啜ってでも立ち上がってきた先で、やっと大切な者たちを居場所ができた。友になりたいと思える人も。

でもこれ以上ないほど酷い方法でその全てを喪い、身も心もボロボロになりながらも芯に揺るがぬ強さを持ち、闘い続けている。唯一残った大切な人を守るために。

粗暴で武骨な印象を受けるガッツですが、見た目通りな部分とそうでない部分も併せ持っています。敵には容赦の欠片もありませんが、女性や子供、小さな存在(妖精)などには優しい。不器用ながらも相手を思った言葉をかけ、嘘偽りも飾り気も無い真っ直ぐな言葉が、時に心に闇や歪みを抱えた人間たちを救うこともあるし、何も語らない背中に『男』としての大きな器を見た人もいる。

人間では勝つどころか戦う気力すら持つことが難しいであろう魔物と、全身全霊を賭けて闘い、命を削りながらも勝利する姿。

賞賛の声も、栄誉もなく、感謝さえされない。

その見た目から悪魔の使いと誤解されることもあるのに否定もしない。でも罪の無い者たちが魔物に襲われそうになれば助けてくれる。

 

そんな男に惚れてしまった。

ベルセルクは中毒性のある漫画だと記しましたが、ガッツという男も中毒性がある気がしてなりません。(人はこれを沼深いと言います)

 

ガッツの姿に共感し、彼と共に旅をしてくれる仲間が出来た。孤独と共に闘ってきたガッツが、彼らに心を寄せていく様にホッとしてしまう。それと同時に、またガッツが大切な人たちを失う目に合わないだろうかと不安も過ってしまう。

闘って闘って闘って、傷つきすぎた彼の心が、報われてほしい。救われて欲しい。

 

 

光のオーラを纏いながらも

執着と野心を抱き

この世の地獄の先で 彼は“”そのものになった

 

ベルセルクにおいて重要なキーパーソンであると同時に、大きな地雷原でもあるキャラクター。それがグリフィスです。

圧倒的なカリスマ性と、卓越した頭脳。美の女神が美しいものだけを集めて造った完璧な美貌。そして人身掌握に長けたチートキャラ。

美と頭脳と集心力に恵まれた男であるグリフィスですが、その美しさゆえに苦しみを抱き続け、大きな夢の為に強くならざるを得なかった人。

作中で、グリフィスはガッツに対して並々ならぬ執着心を抱いていることが克明に記されています。

自分の夢に縋り、そのためにどんなことでもやってきたグリフィスが、唯一己の夢を忘れられたのはガッツと共にあるときでした。

ガッツがグリフィスの元を去るときには、己の手の中から去るならば、殺すことも厭わないと心中を語るほど、彼はガッツに執心しています。

ガッツが去り、心の均衡を崩したグリフィスは坂道を転げ落ちるように、その身を破滅させていった・・・。

作中においてグリフィスがなぜそこまでガッツに執着しているのか、理由は明かされていません。蝕を起こし、ゴッドハンド フェムトに転生した今のグリフィスの思いも同じく明かされていません。

 

グリフィスが凄惨な拷問を受けて、再起不能な身体になって冷たい牢の床に転がされた際に語った心の内を引用します。

 

あいつだけが

まるで闇夜の雷のように鮮烈にオレの中に浮かび上がる

そして繰り返し 繰り返し 津波のように押し寄せる 無数の感情

憎悪 友愛 嫉妬 空しさ 悔しさ いとおしさ 悲しみ 切なさ 飢餓感

渇望し去来するいくつもの感情

そのどれでもない そしてすべてを内含した巨大な激情の渦

それだけが無感の中 消え入りそうになる意識を くさびとなって繋ぎ止める

(中略)
オレはあいつのこととなると いつも冷静ではいられなくなる

オレをこの闇の中に閉じ込める原因となったあいつが 今は唯一オレの生命を繋ぐ糧となっている

数千の仲間 数万の敵の中でただ一人あいつだけが なぜ・・・・・・?
いつからだろう 手に入れたはずのあいつが 逆にこんなにも強くオレを掌握してしまったのは

遠い日 あの路地裏の石畳から始まった 終わらない遊び

オレにとって 唯一神聖な がらくたを手にするための巡礼の旅

だが あいつは今 オレの中で そのがらくたが色あせるほど ギラギラと目に痛い

ベルセルク 10巻より」

 

グリフィス自身も己がガッツに対して抱いている複雑で激しい感情の理由を正確に理解できず、それでも自分に問いかけ続けていることが分かります。

 

残念ながら以降の単行本で、グリフィスのガッツに対する執着心モリモリのクソデカ感情について、はっきりと描かれていません。

 

一見完璧で隙がなく「光」を象徴しているように見えるが、縋るものがなければ生きていけなかった弱さを内包していたグリフィス。

常に思い悩み手負いの獣のように、だがその芯には揺ぎない強さを持っているガッツ。

 

ガッツは少なくとも自分が、グリフィスが鬼畜の所業に及んだ原因なのかもしれない、ということを自覚している場面が度々見受けらますが、グリフィスとガッツ互いに複雑で言葉で言い表せない感情を抱いているのは間違いなく、そして二人の結末を見ることがもう叶わないかもしれ無いと思うと、残念でなりません。

 

 

 

最新刊が出るのを待ち遠しく思っていたベルセルク

今後どのような方針になるのかは未定ということですが、12月に最新41巻が発売されることは発表されており、一ファンとして発売を粛々と待ちたいと思います。

 

こんな漫画には二度と出会えない。

そう豪語するファンも多いベルセルク

まだ読んだことのない方、昔読んでいたけど最近読んでいない方。

万人におすすめは出来ないですが、是非ともこの超大作を読んでいただきたい。

 

決してこのベルセルクという漫画を忘れず、読み継がれていくことが三浦先生への弔いとなると信じて。

 

 

 

 

最後まで読んで下さり、ありがとうございました。

 

それではまた、お会いしましょう。